2014.10.30
Hesh Wiener著

IBMがいま頼みにしている会社

IBMの成功はそのサービスビジネスにかかっています。とりわけクラウドサービスです。そして、IBMのクラウドサービスは、1年前に買収したホスティングサービスを提供している会社SoftLayer社に頼っています。またSoftLayer社は、San Joseに本社を置き20年の業歴を持つ年間売上12億ドルの会社SuperMicro Computer社が製造するサーバーに頼っています。今日までSuperMicro社は25パーセントの成長率で伸びてきており、3月31日を期末とする第3四半期も顕著な収益増を記録しています。IBMがこれを喜んでいることは間違いありません。もしSuperMicro社がつまずくとSoftLayer社がよろめきます。言い換えればIBMにも波及するということです。
IBMがサプライヤーに依存していると考えると、やや奇妙な感じがします。しかもそのサプライヤーは収入でIBMの約1パーセントの事業規模です。このサプライヤーはX86サーバーを提供しています。このサーバーは業界標準を満たしておりHewlett-Packard、Dell、及びIBM自身が製造しているボックス上で使われるものと同一のソフトウエアを稼働させます。しかしながら、このサプライヤーを簡単に替えることはできません。このマシーンはクラウドのホスティング会社で使われており、そのユーザーは巨大Amazonから地方の小規模ISPに広がっていて、それらのユーザーが求めるそれぞれの仕様と特性を満たしているからです。
SuperMicroのような企業は戸惑うほどの多様さでコンピュータを提供しており、ひとつの製品ラインは数百種に及ぶユニークな構成になっていて、そのマシーンのハードウエアに正確にマッチしたBIOSのファームウエアを有しています。種々のサーバー間の違いは多くの場合インプットとアウトプットの点で明らかになります。SuperMicro社は、サーバーをストレージとネットワークに最も低いコストと最も効率的な電力使用量で接続するために、顧客に多くの選択肢を提供しています。同社はベアメタルマシーンとして稼働するサーバーを製造することで知られています。このサーバーは数多くの仮想マシーンをサポートすることができる汎用サーバーと対照的です。なお、SuperMicro社は仮想化をサポートするサーバーも製造しています。しかしながら、そのサーバーは一般のサーバーと比較してハードウエアのコストと電力消費量で大きく勝っているためにSoftLayerのようなホスティング会社間で高い評価を得ています。
SuperMicro社は自社を最も環境に優しいサーバー・メーカーだと誇っており、一部の競合者はこの主張に異議を唱えるものの、誰もこれを単なるマーケティングの戯言だと退けることはできないでしょう。
SuperMicro社のサーバービジネスに対するビジョンはその創業者で現在のボス、Charles Liangのものです。
彼は1993年に創業しました。当初はマザーボードを構築してPC、ワークステーション、サーバーを組み立てる会社に販売していました。その後、他のコンポーネントを製品ラインに追加するとともに、完成サーバーとサーバー・クラスターのサプライヤーに成りました。現在、収入の半分はコンポーネントにより、残り半分はサーバーによってもたらされています。SuperMicro社のサーバーは圧倒的に多くIntelのCPUチップを使っていますが、ハイ・パフォーマンスのボックスはNvidia社製GPUベースのコプロセッサーTeslaを使用しています。このプロセッサーはベクトル変換とエンジニアリングや高頻度の株式取引、ビッグデータのアプリケーションに使われる演算などを行います。SuperMicro社は販売量の増加に促されて生産能力を高める計画に投資しました。この戦略のひとつには台湾にベースを置く関連会社Ablecomとの協業が含まれています。Ablecomは種々の下請け業者の支援を得てシャーシー、パワーサプライ及びその他のコンポーネントをSuperMicro社に納入しています。SuperMicroのその他の最近の動きは、シリコンバレーで最大の新聞社、San Jose Mercuryが入居している総合ビルを買い取ったことです。Mercury社は他の事務所に移転しますが移転作業に時間が掛かるため新しい家主のテナントとしてしばらくこのビルに残ります。移転作業は向こう数か月で完了する予定で、SuperMicroはMercuryの退去後このビルを自社で使うか他の複数企業に賃貸する予定です。いずれにしても旧MercuryビルはSan Joseのハイテク企業群の一部になります。
最近のSuperMicroの旺盛な行動は顧客であるIBMの存在によって活力を吹き込まれたのかもしれませんが、このサーバー・メーカー企業の他の部分もまた明らかに好調です。現在及び最近の営業報告によれば、SuperMicroの製品の10パーセント以上を購入している顧客は一社だけではなく、この業態が投資家たちを安心させています。
なお、SoftLayerはSuperMicroのいくつかの高度な製品の極めて重要な顧客であり、その製品の中にはFatTwinと呼ばれる4Uハイ・サーバーラインが含まれています。
今後成長してゆくであろうIBM-SoftLayer-SuperMicroの関係のひとつの側面は企業におけるSuperMicroのマシーンの使用です。
かなり多くの会社がSuperMicro社のハードウエアを販売、サポートしています。此処に至るまでは、これらの会社の多くは、小さなサプライヤーから積極的に装置を買ってパフォーマンスの向上を図るユーザー企業やエンジニアリング会社をターゲットにしています。しかしながら昨今、自社で使用するサーバーの全てを、X86マシーンを含めてIBM製に変えたユーザーたちがそのプランを見直しています。PowerあるいはIBM のメーンフレームを使っているショップはそのニーズに従ってこれらのマシーンを継続して購入し続けるでしょう。同じショップでもIBM X86を導入したショップは、IBMがX86の製品ラインを売却することで、将来IBMではなく中国のベンダーからマシーンを購入することを嫌うIBMのユーザー側が抱くセキュリティー上の不安が原因で売却の進捗が遅れている、あるいは、一部の人の推測によれば、頓挫したことを知っています。
LenovoがIBMのX86事業を獲得すれば、カリフォルニアのSuperMicroよりもアメリカ的でなくなるでしょう。
さらに、IBMは、少なくともSoftLayerのクラウドサービス活動に関して、自身のX86グループの顧客よりもSuperMicro社の顧客であることを望んでいるように見えます。SuperMicroのリセラーは、IBM i、Power AIX、及びメーンフレームに関わる市場に浸透することはできますが、X86事業のLenovoによる買い取りによって乱れているSystem xのユーザーベースでは多くのビジネスチャンスは望めません。SuperMicroはXeon E7サーバーを越えてハイエンドのエンタープライズ市場に参入することには未だなんら取組んでいません。しかしながら、そのような動きは起こり得ないと考えることは賢明ではないでしょう。

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