2015.05.27
Guild Companies, Inc. (IT Jungle)
Alex Woodie著

クラウドERPは大きな転機に差し掛かった?

長い間、ほとんどのサーバーのワークロードは最終的にスケールメリットの観点からクラウドに移行するであろうと言われてきました。ただし、此処に至るまで企業は重要な業務ソフトであるエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)についてはクラウドへの移行を躊躇してきました。しかしながら、今回のNucleus Researchの調査によれば、いま多くの企業がクラウドコンピューティングのメリットに注目してクラウドERPに向かって動いています。

NucleusのバイスプレジデントRebecca Wettemannは、自身のERP Value Matrixで多数の ERP オファリングを分析し、ユーザーインターフェースの品質、モバイルの拡張、内蔵アナリティクスの有用性、クラウドオプションの有用性などの観点からそのソリューションをランク付けしています。

Wettemannによれば、下図の「Leaders」の枠内、おなじく「Facilitators」の枠内に入る多くのERPパッケージは概ねクラウドのオプションを有しています。このうち「Facilitators」は高いユーザビリティーを提供しますが、「Leaders」に比べれば機能性が劣ります。「これらの全てはなんらかのバージヨンのホスティングオプションを有しているが、今後はクラウド提供モデルがますます多く導入されると思う」とWettemannは述べています。

クラウドERPの導入に関する確かな数字は把握が難しく、セントラル・レポジトリが存在しません。しかしながら、折に触れて全般的なトレンドを垣間見ることはできます。1年前、Panorama Consulting社がクラウドERPのデプロイメントに関するユーザーの調査を行い、2013年は減少していたことが判りました。クラウドデプロイメントは全ERPデプロイメントのわずか12パーセントで、Panoramaのレポートによれば過去3年間で唯一の減少した年でした。

Wettemannは、ERPがクラウドの転換点に達していることをユーザーの導入データに基づいて結論づけたのではなく、ERPベンダーがクラウドERPで何を行っているかをベースにして導いた結論です。ERPベンダーたちが行っていることを完全な“雑居”パブリッククラウドあるいは(ホスティングまたはプライベートクラウドとは対照的な)SaaS類似オファリングと定義しています。その意味で、Wettemannのリサーチは遅行指標のPanoramaの数字とは対照的で先行指標といえます。

クラウドERPの有力なプロバイダー

Wettemannは有力なクラウドERPとして、純然たるクラウドERPのプロバイダーNetsuite、Acumatica、およびInfor、Oracleといった伝統的なERPベンダー、及びクラウド分野である程度の成功を収めたとしてMicrosoftを挙げています。

製品情報01

Wettemannは「InforのCloud Suiteによる戦略と既存のERPベースがクラウドに移行するためのロードマップを示したことは、多くの既存ERPの顧客が実際にクラウドに移行したとき、それらの顧客を大変満足させることになる」と述べています。さらに「移行戦略は極めて明快であり、顧客が有しているシステムを最適化する一方、合理的な戦略内容であったため顧客のクラウド導入を促進している」と付け加えています。

Inforは、多くのIBM iのショップにとって明らかに重要なベンダーです。多くのIBM iのショップは古いERPシステムを使って現在それに依存しているからです。しかしながら、InforのCloud SuiteにはIBM iの「風味」は有りません。したがってBPCS、MAPICSあるいはSystem 21からのInforのクラウドソリューションへの移行は、RPGベースのプログラムからERP LN、SystelineあるいはInforの多くの他のオープンシステムERP製品へのマイグレーションと同じく、骨の折れる作業になる筈です。

IBM iのクラウドオファリングに関して言えば、Bob Vormittagグループ(VAI)が構築したものを打ち砕くのは難しいでしょう。Wettemannは「VAIは素晴らしい仕事をしている」「自社の顧客はクラウドの検討が遅いと言う。しかしながら、IBMのテクノロジーがサポートしていることが理由で、クラウドを前向きに考えている企業にとって魅力的な提案になることは間違いない」と述べています。

クラウドの導入パターンを見る

企業におけるクラウドの導入に一般的なパターンが現れています。「組織が自社のコアであるERPと会計システムを他の誰かに稼働させる前に、多くの場合ホストされているemailなどを通してITウールの割れ目からクラウドは浸透している。Microsoft Office 365が単調なコミュニケーションインフラをクラウドにオフロードしている格好の例」とWettemannは述べています。最近は、C-suiteがクラウドベースのCPMツールがいかに競争上の優位性を提供しているかを示しています。

「ERPは明らかに沈滞傾向」「しかしながら、サプライチェーンが動いており、HRが動いており、さらに企業がクラウドベースのCPMソリューションに目を向け始めているので、クラウドにいっそう大量の財務データが集まることになる」とWettemannは言います。

大企業は多分クラウドERPシステムの導入に腰を上げるのが遅いであろうとWettemannは言います。さらに「クラウドERPは大企業の本社に導入される前に子会社あるいは大企業の中のひとつの部門に先に導入されるであろう。ERPには強い硬直性が有る。すなわち、完成には数年を要する。これに対して、中小企業には普及への大きな契機がある。中小企業は現在自社のビジネスの成長に役立つ大規模のクラウドベースERPの財務管理アプリケーションを持っているのがその理由」とWettemannは述べています。また「多くの面で、クラウドはERPスイートで使うことができる機能性のもうひとつの機構になりつつある。古いERPシステムが時を経て実用性を失い、組織はアップグレードの対応を始めるので、クラウド上の稼働がもうひとつの選択肢になる可能性がある。これらの組織はメンテナンスが止まって久しい古いERPシステムを使っているが、クラウドERPの導入によって回復できる」とWettemannは言います。

クラウドのROI(投資収益率)

Wettemannは、「最新のNucleus調査でクラウドERPのデプロイは従来のデプロイメントに比べて1.7倍のROIが得られることが判明した。これは総合的な投資を考えるとき絶対に無視できない数字」と述べています。

長い間、クラウドERPを導入することの最大のリスクはセキュリティーとプライバシーのレベルの低さだと考えられてきました。セキュリティーに対する警戒心の深さはうなずけます。しかしながら、Wettemannは、セキュリティーとプライバシーは必ずしもクラウドのデプロイメントのデメリットとは言えず、ある点ではメリットになり得ると言います。「企業は自社のベンダーたちがプライバシーとセキュリティーに関して何を行っているかを注視する必要がある。多くの場合、ベンダーがデータセンターに向けて物理的およびデジタルの双方でセキュリティーに向けて行っている投資は、企業が自社のセキュリティーのために行う投資よりもはるかに巨額である。クラウドでデータを管理することにはスケールメリットが有り、このことがまたセキュリティーの管理に良い効果をもたらしている」とWettemannは説明しています。

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