2015.09.28
Timothy Pricket Morgan 著

Power Systems 第2四半期の業績

いまことごとくの大規模グローバル企業が第2四半期の業績を公開して、それらが話題になっています。ヨーロッパ、南アメリカ、及びアジアのそれぞれ一部の経済が先行き不安定であることが他通貨に対する米ドルの価値を押し上げてしまいました。アメリカ人で国外旅行する人々には有難いことです。しかしながら、米国外における販売量が多く、これを米ドルに換算して決算の売上に計上する米国企業にとってドル高は逆風です。

IBM Power Systemsラインの第2四半期がまさにこれに当てはまっており、IBMのハードウエア、ソフトウエア、サービスの全ての製品ラインがドル高の逆風を受けています。IBMは第2四半期の売上208億8千万ドルを計上しました。この数字は13.7パーセントの下落です。しかしながら、通貨の影響とIBM Microelectronics及びSystem x部門の売却をこの数字から取り除くと1パーセントの減収に留まります。
(この算出は無視できない財務面の結論を生むので思慮深い行為とは言えません。
しかしながら、通貨の逆風が無かったかのごとくそのビジネスを考察してIBMのビジネスの強さあるいは弱さを測るひとつの判断基準になります。)IBMの売上は13四半期連続して下落してきました。あるときは市場の影響を受け、あるときは資産を売却したことが起因しました。そして誰もがIBMはソーシャル、クラウド、及びアナリティクス分野だけでなくPower Systems、System zハードウエア及びソフトウエア・スタック分野でビジネスを成長させることができるのか否か、その答えを見つけ出そうとしています。

チップとX86サーバービジネスの売却の結果、Systems Hardwareグループの売上は31.7パーセント減少して20億6千万ドルになりました。なお、IBMはハードウエアにおける別の1億7百万ドルを他のハードウエアユニットに分配して、第2四半期の売上合計を21億7千万ドルに上げました。この結果ハードウエア事業の税引き前利益は2億5千5百万ドルで前年同期比26パーセント増となりました。従って、ハードウエア事業の売上が減少しても、その利益は上昇基調であり、芳しい兆候といえます。これが意味するところは、IBMの売上額は当然増えるので、いっそうの利益をIBMは計上できるということです。IBMは明らかにこれを望んでいます。理由はいまメインフレームの6,000の顧客がSystem z13のアップグレードサイクルのさなかであり、またPower Systemsが現在エントリー、ミッドレンジ、及びハイエンドで絶好調だからです。

IBMはPower SystemsとSystem zラインの具体的な売上数字は開示していませんが、簡単な計算で第2四半期の売上が14億5千万ドルであったことが判ります。前期比を算出するのは困難です。2014年第4四半期の売上は15億1千万ドルで、2015年第1四半期のサーバー売上は12億1千万ドルですが、2015年第1四半期はSystem xが既に製品ラインに存在していません。IBMはオペレーティングシステムの売上で別途5億2千8百万ドルを計上していますが、これにはIBM iとAIXの永久ライセンス及びPowerとSystem zプラットフォームの種々のLinuxディストリビューターのリセリング・サポート契約が含まれています。従って、中核であるサーバービジネスの第1四半期売上は20億ドル弱となります。この規模を感覚で捉えるために比較数字を挙げれば、IBMのシステムビジネスはCisco SystemsにおけるUnified Computing Systemビジネスの約4倍です。Ciscoは市場全体に合わせて成長が減速する前、年間売上は30億ドルから40億ドルの間でした。

前述のとおり、Power Systemsの第2四半期の売上は1パーセント減少しましたが、為替変動の影響を除いた場合は5パーセント増となります。この成長率は低く思えるかも知れませんが、Power Systemsビジネスは再び上昇し始めるための足場を築き上げたように見えます。IBMのCFO、Martin SchroeterはWall Streetのアナリストとのコンファレンスコールで、Power Systemsは第1四半期と第2四半期にわたり(為替変動の影響を除けば)売上の伸びを記録したと説明し、これはUnixとLinuxのビジネスチャンスを掴んだスケールアウトシステムの力強い伸びと成長を取り戻したハイエンドに強く牽引されたと付け加えています。なお、Schroeterは発表されて間もないPower E850ミッドレンジには触れませんでしたが、このシステムも大きく貢献したと筆者は想像しています。第2四半期におけるメインフレームの出荷は前年同期比24パーセント増でした。また第2四半期におけるこれらのMIPSの出荷による売上は為替の影響を除いて15パーセント増となっており、Schroeterは第1四半期と第2四半期を通した上半期のSystem xラインの売上は50パーセント増であったことを付け加えています。

以前にも言いましたが、Power Systemsのビジネスを強化することはIBM iプラットフォームの寿命を延ばすことになります。さらに付け加えれば、System z事業が堅固であることは、IBMが自身のPower SystemsのためにPowerプラットフォームへの投資を継続することを可能にし、あるいはOpenPowerに導かれている広いエコシステムの開発を通してPowerプラットフォームへの投資を継続することが可能になります。Schroeterは「上半期を通してのPowerの業績はPower戦略が目的通りに効を奏していることを示している」と述べています。

ストレージ事業の売上は6億5千万ドルでした。FlashSystemは好調で、収益性が高く成長の速いこの市場でシェアを伸ばしています。しかしながら、高価なフラッシュアレーは導入の足が鈍く、ディスクアレー、テープアレー及びライブラリーの販売減少で生じたギャップを埋めるにはまだ不十分です。いずれにしてもストレージのセールスは全生産ラインの総額で10パーセント減となっており、為替の影響とSystem x事業売却の影響を取り除けば4パーセントの減少となります。

Software Groupの売上は10.1パーセント減で58億3千万ドルでした。税引き前の利益は27億2千万ドルで、売上の34.4パーセントであり、同業他社と比べれば健全な利益率といえます。為替変動の影響を除けばSoftware Groupの売上は僅か3ポイントの減少に留まります。WebSphereミドルウエアの販売は5パーセント増で、データベース製品は横ばいでした。Tivoli セキュリティーとシステム管理ソフトウエアは1パーセント減、Rational 開発ツールは2パーセント減でした。Lotus Dominoソフトウエア、その他多くのコラボレーションとマーケティングツールを含むWorkforce Solution部門は3パーセントの減少でした。間違いなく売上の一部に寄与したであろうSystem x部門の売却を考慮すれば、これらの売上数字はそれほど悪くはありません。IBMの業績に打撃を与えた主な原因は専ら通貨の為替です。

IBMの群を抜いた大事業部門Global Services グループは、売上127億5千万ドルで前年同期比11.1パーセントの減少でした。IBMの全事業の約1/4を構成しているコンサルティングと統合ビジネスは為替変動の影響を除けば4パーセント減ですが、IBMはそれ以上の数字を明らかにしていません。システムとアプリケーションのアウトソーシング、メンテナンス、Integrated Technology Servicesといったその他のビジネスは為替変動を除けばささやかながら増額になっています。しかしながら、繰り返しますがSystem xの売却と為替の問題はGlobal Servicesの売上を押し下げた大きな要因です。
Global Servicesの税引き前利益は19億ドルで前年同期の26億8千万ドルに対して29パーセントの下落です。我々は、IBMがGlobal Servicesのこの結果を受けてさらなるレイオフを実行することを耳にしています。IBMはこのことについて公には触れていません。

Schroeterは、クラウドビジネスの第2四半期は70パーセントを越える成長率であり現時点のランレートで87億ドルと発表しました。なお、IBMはこのクラウドビジネスを実際には定義していません。プライベートクラウドを構築するために使うシステムとSoftLayerパブリッククラウド及びGlobal Servicesのアウトソーシングとホスティングを含むビジネスと推定しています。このランレートは今年第1 四半期が終わった時点の年率換算レートよりも10億ドル高くなっています。IBMのクラウド・インフラストラクチャー上で稼働している種々のソフトウエアとインフラサービスは年率換算45億ドルでクラウド売上合計の半分を越えています。

IBMは過去10年間ブラジル、ロシア、インド、中国といった成長市場に目を向けていましたが、今年第2四半期はカナダ、ドイツ、イタリア、フランス、日本が成長に寄与しています。米国における売上は一桁台の低い方に下落、全主要市場の売上はグループとして横ばいであったとSchroeterは説明しています。さらにSchroeterは、ブラジルは16パーセント減、中国は25パーセントの下落、ロシアでは不安定な状態が続いており、インドは緩やかな成長と述べています。

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