2016.04.14
Alex Woodie著

世の動きがクラウドに向かっているなかでIBM iクラウドは?

多くの企業はワークロードをAmazon、Microsoft、IBMといったパブリッククラウドに前例の無いスピードで移行しつつあり、これが大規模データセンターの構築ブームに拍車を掛けていいます。しかしながらIBM iを使っているIT組織もこれに同調してクラウドに向かうのでしょうか。

クラウドが大量に導入されつつある状況を示す多くのデータがあり、上記の企業によって運営されているパブリッククラウドとマネージド・サービス・プロバイダー(MSP)やIBMのビジネスパートナーによって運営されているプライベートクラウドでクラウドの世界が構成されています。

クラウド管理用ソフトのプロバイダーであるRightScale社が1月に行った調査によれば、プライベートクラウドを導入している企業は前回の63%から77%に増加しています。 調査は5社のうち4社がハイブリッド・クラウド戦略を備えており、ほぼ全社(95%)がクラウドのサービス(IaaS)を使用しているか、試験的に稼働させていることを示しています。

最大のクラウドはAmazon Web ServiceでRightScaleの調査では57%の企業がこれを使っています。Amazonの利用者数は横ばいですが、MicrosoftのAzure IaaSは前年12パーセントから当年度は17%に伸びています。大企業(従業員1,000名以上)でクラウドを始めているのは約10%超ですが中小企業ではこれを上回っています。

他方、IDCの新しい調査によれば、企業間におけるモバイル及びビッグデータテクノロジーの導入とハイブリッド・クラウド・コンピューティングインフラの導入との間に密接な相関関係が見られます。ストレージのプロバイダーEMCによれば、ハイブリッド・クラウド・テクノロジーはビッグデータとモバイルテクノロジーを包含していると定義して、デジタル変革を実現する偉大な要因としています。
このデジタル変革は顧客と消費者の期待を完全に変えたとEMCの製品マーケティング部門のプレジデントJeremy Burtonは言います。「彼らはあらゆる物がオンラインに有り、接続し、モバイルアプリケーションによって即座に使用できることを期待している。従って彼らは求める物を何でも、いつでも、何処からでも入手できる。この新しいデジタルの世界はこれを捉える企業には巨大な好機が有る。しかしながらこれを受け入れない企業は消滅する可能性を孕んでいると言っても過言ではないと私は思う」と述べています。

製品情報01

出典:RightScale調査

Infor社も、自社の顧客のうちIBM iを使っている顧客を14,000社持っており、IBM iの複雑性と特性を十分に認識しているので、最近クラウド導入の動向調査を行っています。しかしながら、Inforの場合は主にInfor LX (BPCS)、System 21、Distribution iBusiness (A+)、及びM3の顧客ベースで構成されているディストリビューターに焦点を絞っています。

Inforが行ったクラウドに関する調査によれば、回答者の40パーセントがこの先12カ月の間にクラウドのソリューションに投資することを真剣に考えており、32パーセントが現在クラウドのテクノロジーを利用しています。これは、約4分の3の回答者がクラウドを使っているか計画していることを意味しており、上記RightScaleの調査と同じ結果を示しています。

此処でInforはクラウドがディストリビューターに新たなビジネスチャンスをもたらしていると述べています。「クラウドへの転換は、ディストリビューターが顧客に最大の価値を提供するのに役立っている。理由は、在庫状態などの極めて重要な情報をいろいろな場所からリアルタイムに利用できるためであり、意思決定者にいっそうの可視性を提供できるので彼らが最善の選択を行うのに役立つ」とInforの戦略ディレクターKelly Squizzeroは述べています。

いまIBM iを使用している組織は平均的に「クラウドは素晴らしい。自分は廃れたくないし、周囲で動いているデジタル変革に自分のビジネスを適合させたい。しかしながら、どうすればクラウドソリューションを正確に確保することができるのであろうか?」と言うでしょう。

これは優れた質問です。我々皆が知っているように、IBM iの使用者は一般的な通常の企業とはやや異なります。一般の平均的な企業はWindowsとLinuxで稼働する業務アプリに強く依存しています。これに対してIBM iの使用者は自社の業務運用をIBM iベースのアプリケーションに依存しています。

これが懸案事項です。AWS、Azure、IBM SoftLayer、そしてGoogle Compute Engineといったすべてのパブリッククラウドのプラットフォームがクラウドの顧客にIntel X64ベースのシステムを提供しているからです。Powerベースのクラウドも利用できますが、一握りのMSPが提供しているホスト環境に限定されます。クラウドでIBM iの環境を稼働させることができますが、X86サーバーをベースにしたパブリッククラウドで得られる融通性とスケールメリットは得られません。

IBM iの使用者にとって、現時点でクラウドに移行することは、AWSやAzureが提供する電力系統のような系統に加わるのではなく、自社のサーバーをアプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)やホスティング機関、コロケーション施設に委託することになります。MSPによるクラウドはIBM iの使用者に管理コストとメンテナンス費用の低減及び資本支出に対する運営コストへの移行といったメリットをもたらしますが、これらは通常の企業がパブリッククラウドによるIaaSプラットフォームに移行するのと単に同じ結果にはなりません。

それにもかかわらず、IBM iの使用者がクラウドの計画を押し進めている、あるいは少なくとも自社のハードウエアを稼働させる選択肢を検討している兆候が見られます。

HelpSystems社が行った第2回年次調査、IBM i Marketplace Surveyによれば、IBM i使用者の約9パーセントがすでに自社のボックスを外部委託に出しており、約8パーセントがコロケーション施設を使っています。そしてIBM i使用者の約8パーセントがMSPの導入を検討しています。このことは、約25パーセントがハードウエアの所有をすでに止めたか、止めることを検討しているということです。しかしながら、IBM i使用者の大多数、75パーセントは外部委託あるいはMSPの採用は計画していません。

明らかにこの数字は、IBM iの使用者が全般の企業よりもクラウドへの移行ペースが大変遅いことを示しています。これはミッドレンジに強く行き渡っている、行動や考え方の自由を信奉する性格を考えれば特に驚くことではありません。Windows とLinuxマシーンが従来から企業にもたらしてきた管理コストの問題及び頭痛の種を考えれば大企業及び中小企業が自社のプラットフォームの日常の管理を他社に委託することを検討しても驚くことではありません。

その点に関して、IBM iのプラットフォームが歴史的に企業にもたらしてきたTCO (総所有コスト)のメリットはパブリッククラウドへの全体的な動きに逆行します。IBM iを使っている組織はWindowsとLinuxの業務アプリに依存している組織よりもすでに贅肉を落として競争力を高めているので、クラウドへの移行がもたらすメリットがより少ないといえます。

それにもかかわらず、クラウドへの動きは一種の世代交代であり、最終的にはIBM iの使用者に影響を及ぼします。昨今サーバーは孤立したひとつの島ではなく、企業は以前よりもアプリケーション及びデータレベルでの統合の必要性を理解しつつあります。いまIBM iを使用している組織は、例えWebで業務を行うための共通言語になりつつあるデータ形式とWebサービスをサポートする方法だけであっても、自分自身及び自社のアプリケーションをクラウドの受け入れに向けて備えることが賢明です。

EMCは、デジタル変革が、所有する者としない者の別れ目を間近にしていると言っており、これは正しい主張です。モバイルコンピューティングとビッグデータ分析は重要項目です。各産業界でIBM i を使用している組織は最終的にこれらの競合プレッシャーを感じ始め、顧客のためにこの戦いに引き込まれると思われます。

IBM iを使っている組織は、数十年間IBM iがセキュアで信頼性の高いことが証明されている堅固なビジネスプラットフォームであるお陰で、すでに一部の武装が完成していると言えます。これ自体は好ましいことです。HelpSystemsの調査によれば、IBM iを使っている組織の60パーセントがアプリケーションのモダニゼーションを最大の懸案事項と特定している事実から、いま重要なことが動いていることを明らかに認識しています。問題はこれらの組織がやがて直面するデジタルの混乱に十分に備えるであろうかか否かです。

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