2016.10.06
Timothy Pricket Morgan 著

Power9の革新への期待

X86サーバー市場から離れ、Intelのパートナーの立場から直接的ライバルへと変身したIBMは、最も豊かで競争の激しい市場で自身のエコシステムを発展させているものの、データセンターのプロセッサーの供給元としては相対的に負け組に属することになりました。このため、PowerプロセッサーでXeonチップに立ち向かって勝利を収めたいと考えています。IBMのPower9チップは、2001年のPower4以降、これまでIBMが発表したあらゆるチップの中で、これを実現する見込みの最も高いチップです。

IBMのチップ エンジニアのトップたちは、来週、シリコンバレーで開催されるHot Chips 28カンファレンスに出席する予定です。ちなみに会場は、Intelの本部のすぐ近くです。そして、スケール アウト マシン向けには2017年に、より大きなSMPマシン向けには2018年にロールアウトされることが期待されるPower9チップについてIBMが明かすすべての詳細情報がそこで得られることになります。以前に、4月にIBMがOpenPower Summitで明らかにしたIBM revealed at the OpenPower Summit back in AprilPowerプロセッサーのロードマップについて取り上げました。自身でマシンを製造しているハイパースケーラーやサービス プロバイダーだけでなく他のシステム メーカーにも、ワークロードの一部のためにでもPowerチップを採用してもらうべく、IBMはOpenPowerコンソーシアムを設立しました。その時から我々が述べてきたように、IBMは、長期に渡る完全なロードマップを示さなければなりませんでした。これは、IBMが長年Powerチップに注力してきたこと、そして事業の再編成や変革が進められる中でも、この事業を売却しないことを示す必要があったからでした。そして、IBMの名誉のために言っておけば、IBMはそれだけは行ったことになります。

製品情報04

今のところ、IBMはまだ、中国のSuzhou PowerCore社のような他のパートナーとともに、Powerチップの開発の取り組みを先導しているようです。同社はIBMの設計を採用し、中国や他のアジア諸国で販売するシステムの内部で使用するように調整を加えています。米国や欧州において、Suzhou PowerCore社が勢いを伸ばすとは思われませんが、もっとおかしなことが、これまでに起こっているため、無視はしないでおいたほうがよいでしょう。重要なのは、IBMはこのPowerの戦いにおいてもはや一人ぼっちではないということです。当初はGoogle、Nvidia、Mellanox Technologies、およびTyanの協力を得ており、現在では、他の何百もの企業(Rackspace Hosting、IBM自身のSoftLayerクラウドなど)がPowerアーキテクチャの採用を推進しています。ご推察の通り、そうした取り組みは、もっぱらLinuxシステムに対してのもののみです。また、最初に20年前にそうしたように、MicrosoftがWindows ServerをPowerチップへ再度移植してくれることを多くの人々が望んでいますが、そのようにはならなそうです。しかし、試しにこのことについて少し考えてみましょう。

過去15年間でXeonの代わりを求める要望がこれほどまでに高まり、強まったことはありませんでしたが、Power9チップは、その要望に応える初のアーキテクチャとなります。ARMプロセッサー上のWindowsを求める声は続いており、ビッグ アナリティクスおよびデータベース ジョブのためには、SQL ServerをLinux が稼働するPower上へ移植するよう求めることも妥当なことだと言えます。結局のところ、Microsoftは、Xeonプロセッサー上のLinuxへSQL Serverを移植しているので、起こりえないことが実際に起こったということになります。そして、たとえMicrosoftが、決して製品化することもなく、直接その膨大なWindows Serverインストール ベースに展開していくこともないとしても、MicrosoftのAzureクラウドは、サービスのために内部的にPowerベースのサーバーの使用を強いられるかもしれません。Microsoftは、まずはAzure上で使用するでしょうし(長年そうしています)、プライベート データセンター向けに製品化するとしたら、それからのことになるでしょう。こうした流れは、ちょうど、GoogleとRackspace Hosting社が「Zaius」Power9サーバーで行おうとしているようにjust like Google and Rackspace Hosting are planning to do with their "Zaius" Power9 server、よくある展開と言えるでしょう。

前述の通り、IBMは2種類のPower9チップを作成しています。1つは、1ソケットまたは2ソケットのマシン(「スケール アウト」マシンと呼ぶ)向けのものであり、もうひとつは、メモリーを共有する4つ以上のプロセッサー ソケットを有するより大きなNUMAシステム用に設計されたもので、IBMではそれらを「スケール アップ」マシンと呼んでいます。これらの新チップは、それぞれPower9 SO(来年後半に登場予定)、およびPower9 SU(上記ロードマップ参照)と呼ばれています。興味深いことに、Power9 SOマシンは、IntelのXeon E5プロセッサーと同様に、標準的なDDR4メモリー スティックをプロセッサー コンプレックスに接続できるようになっています。その一方で、Power9 SOチップはプロセッサーとメイン メモリーとの間にバッファード メモリー回路を備え、より大きなメモリー帯域幅および容量がチップに加えられるようになっています。この点はIntelのXeon E7チップによく似ています。

ソフトウェアの要求によりよく合うようにハードウェアを微調整することを意味する、コデザインと呼ばれるアプローチが、クラウド ビルダー、サービス プロバイダー、ハイパースケーラー、HPCセンター、およびシステム ビルダーの間でますますポピュラーになりつつあります。また、IBMがターゲットとしている顧客の多様さを考えると、それ以前のPower8ファミリーと比べて、おそらく、Power9チップのラインアップはかなり多様なものになりそうです。IBMは、自身のPower Systemsマシン向けの、およびLinux、AIX、およびIBM iのワークロード向けに特別に調整したPower9 SOおよびSUチップのバリエーションを用意するでしょう。さらに、いわゆる「マーチャント シリコン(merchant silicon)」ディストリビューションをターゲットにした他のバージョンも用意されることでしょう。これは、OEMまたはODM業者によって製造される、他のマシンに搭載されるチップを意味します。これには、これらの業者が自身のビジネスのために、マシンを直接顧客に販売する場合もあれば、顧客の要望を受けて工場で製造したマシンをその顧客に納入する場合もあります。もちろん、IBMとそのファウンドリー パートナーのGlobalfoundries社がサポートでき、かつ赤字にならない程度に、カスタマイゼーションに対する制限はありますが、一方で、こうしたコデザイン アプローチを前提とした場合には、どうしても対応しなければならない、ある程度のバリエーションおよびカスタマイゼーションも存在します。

興味深いことに、そうしたバリエーションにより、IBM iショップには以前に比べてより多くのオプションが与えられることになります。もっとも、IBMがIBM iのオプションをオープンにしておくよう促されるとしたらですが。つまり、我々が促す必要があるということであって、そうしなければIBM iは後回しにされてしまうでしょう。IBMがLinux on Powerビジネスに注力する必要があること、そしてLinux on Powerの活力がPowerプラットフォーム全体の活気や投資に直接関連することは理解していますが、Linuxに対して与えられる恩恵は、AIXやIBM iにも与えられるべきだと我々は考えます。最初のPower9 SOシステムの発売を約1年後に控えた今、IBMに対して意見を述べるべきときだと言えます。現在、翌年に向けてのシステムプランを策定しつつあるからです。以前にも言ったことですが、繰り返し言います。ODM製、OEM製、あるいはIBM製を問わず、また、ベア メタルであれ、OpenKVMハイパーバイザーであれ、Linuxを実行できるすべてのマシンは、PowerVMおよびIBM iおよびAIXをサポートできるようにするべきです。私はハードウェアに目を向け過ぎだと批判を受けることが多いですが、これならどうでしょうか。ハードウェアの基盤がなければ、IBM iプラットフォームは存在しません。そして、Powerアーキテクチャに与えられる経済的および技術的恩恵は、すべてIBM iにも与えられるべきです。

ある意味で、IBM iはコデザインの特殊なケースと言えます。1980年のSystem/38に始まり、1988年のAS/400に続いたのが、コデザインの最初の例と言えるのではないかと考えられます。あるケース、特にクラウドを構築するサービス プロバイダーのケースでは、ハイパースケーラー向けにLinuxを実行するように設計されたマシンであれば、IBM iクラウドを構築するMSP向けのマシンとしても利用できるでしょう。これは顧客のワークロードも予算も少なめだからです。2年前には、IBMはこのことを理解していなかったように思われます。もっとも、Power9 SOが登場する2017年には理解するかもしれませんが。

どんなものであろうとも、新たなハードウェアやその機能というものは刺激的です。データセンター プロセッサー市場では、IBM、AMDの「Zen」 Opteron、様々なARMチップ サプライヤーの間で真の競争が始まっています。そして、来年はハードウェアにとって、かなり面白い年になりそうです。来週のHot Chipsでは、2017年に登場するいくつかのイノベーションをちらっと目にすることができるでしょう。乞うご期待。

Power9システムに対して何を期待しているか、コメントをお寄せください。フィードバックのやり取りを始めようではありませんか。

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