2017.05.12
Dan Burger 著

IBM iがWatsonとコーヒーを飲む

IBM iコミュニティにおいてWatsonの存在が実感されるようになっています。これは、IBMがコグニティブ コンピューティング テクノロジーの舵を、収益性の高い業務プロセスのニーズに向けているからです。IBMがWatsonの方向性をビジネスに向けたことは、 「i for Business」のインストールベース、または少なくともITが競争優位性であると考える一部のインストール ベースにはぴったり適合するはずです。

アナリストたちは、組み込みのコグニティブ機能を源泉として、ビジネス ソフトウェアの川が流れ出すと予想しています。よりスマートなワークフロー効率をもたらす、よりディープなデータ解析が、企業経営者たちの注目を集めていると彼らは言います。そして、2018年までには新たなビジネス ソフトウェアの4分の3に人工知能機能が組み込まれるようになると彼らは予言しています。

レガシーな(実績のある)アプリケーションを抱える独立系ソフトウェア ベンダー(ISV)の場合、コグニティブへの対応は、すぐに飛びつくというよりは、より慎重で抑制のきいた形になるでしょう。もっとも、彼らも最新の流行を追わなければというプレッシャーを感じていることは間違いありません。IBM iコミュニティにとっては、組み込みのコグニティブ機能は、夜明けの薄明かりの中です。ビジネス リーダーたちは、まだ目をこすりながら1杯目のコーヒーに手を伸ばそうとしているところです。IBMは、湯気を立てている深焙りコーヒーを彼らに手渡して、コグニティブ クラウドのサウンドトラックのボリュームを上げつつあるところです。

午前8時の早朝会議の準備をしましょう。そこでは、人間を理解し、推論し、人間について学び、人間と対話するシステムが、どのようにしてアーリー アダプター(早期採用者)たちを、競争優位性の山の頂上へ連れて行くかについて説明します。あたりを見まわしてみれば、すべての人が山に登る準備ができているわけではないことは明らかです。

Webサービス、RESTインターフェース、およびサービス指向アーキテクチャー(SOA)などの技術で開発者スキルを持つ組織は、Watson-IBM i統合を実現させるための一番よい位置にいると言えます。RESTベースのサービスは、IBM i環境が、BluemixおよびWatsonとの間で相互に通信することを可能にします。Bluemixは、IBMのクラウドです。インタラクション層は、Watson APIを用いて構築されます。そして、それらのいくつかはすでに存在しています。

1つの例として、Watsonの自然言語処理を行う機能を挙げることができます。この機能は、コール センターを自動化するのに役立てられるかもしれません。そのほかにも、ビジネスの現場での実用化に向かいつつある機能としては、音声認識機能、画像解析、テキスト内のキーワード識別、因果関係および相関関係メトリクスの識別、およびデータ ポイントが互いにどの程度相関があるかについての判定する機能などがあります。

あなたが開発者または開発チームのマネージャーなら、Watson APIに関連する有用なコードおよびベスト プラクティスのレポジトリである「Cognitive IoT Cookbook」をぜひともチェックしてみてください。それは、コーヒーの最初の一口になります。また、新たなコグニティブの日の出発点でもあります。その「レシピ」には、IoTデバイスの制御方法、音声コマンド コントロール、および音声認識と音声合成機能が記されています。

製品情報01

「コグニティブ コンピューティング テクノロジーの進歩とともに、開発者は、学ぶ必要があるものを機械にコーディングし、機械は、コーディングする必要があるものを学びます。人々が世界を変えようとし、企業がよりスマートな、より情報に基づいた意思決定をするのを支援する上で、開発者が持つ力は今までにないほど大きくなっています」と、IBMのチーフ デベロッパー アドボケイトのWillie Tejada氏は 「Software Development Times」の記事で述べています。

IBMのシステム ハードウェア ゼネラル マネージャー、Paulo Carvao氏は、コグニティブ コンピューティングと、IBM iのような記録のためのシステム(SoR)との統合についての意思決定は、IT上の意思決定というよりも、おそらくビジネス上の意思決定となるだろうと述べます。どのような業種で最大の成果が上がるかに左右され、ある業種から別の業種へと次々に移ってゆきます。「これは、ビジネス指標に基づく意思決定です。むしろ反対に、ビジネス ソリューションがテクノロジーを引っ張るということです。意志決定者たちは、これらのシステムがどのように機能するかに特に関心があるわけではなく、ただ機能することを見せてもらいたいだけなのです。」

「どれだけ多くの機能が、あらかじめパッケージ化できるか、そして、パッケージ化された側でパートナーのソリューションの中に組み込むことができるかどうかという要素があります。そして、それは、顧客との契約時点でどれだけ多くの機能を組み込むことができるかに影響を及ぼします。」

個別企業単位でIBM iアプリケーションの統合を実現できるようにするためには、Bluemix上でより多くのWatson APIを作成、有効化し、利用可能にするなど、やるべきことはまだまだたくさんあります。あるソリューションを作り出すために、Watson APIがどのように使用され、どれくらい多くのストレージが必要とされるかについては、これから探り当てていく必要がある事柄です。IBM iの経験を持つシステム インテグレーターは、そうした最前線の多くの仕事に従事することになると言ってもよいでしょう。

IBMの戦略において、コグニティブ コンピューティングの重要性は、計り知れないものになっています。Watsonなしでは、IBMは苦境に立たされるでしょう。サーバー販売に依存する収益は下落し続けています。IBMの社長、CEO兼会長のGinni Rometty氏が「戦略的インペラティブ(SI)」と呼んでいる、クラウド、ビッグデータ アナリティクス、およびモビリティといった分野は、2016年に330億ドルの収益を上げました。これは、IBMの収益全体の40%を超えています。その40%に対してWatsonがどの程度影響を及ぼしたかについては、現時点で十分に影響したというほどではなく、また、影響度を明確にするのも難しいところです。しかし、そうした戦略的インペラティブが主要な収益のエンジンになっていくとともに、IBMでは、今後何年間は、Watsonが収益を飛躍的に伸ばす役割を担うことを当てにしています。IBMがシステム ポートフォリオを練り直し、優先事項としてクラウド、データ、およびコグニティブの分野に力点を置くようになっていることにはお気付きでしょう。

2年前、IBMは、30億ドルを投資して、Watson Analyticsの開発に専従する新たなIoT事業部門を創設すると発表しました。現在、このグループには1,000名以上の研究者、開発者、およびデザイナーが在籍しています。実用可能な目玉となる機能としては、拡張現実(AR)、コグニティブ機能、ブロックチェーン、エッジ分析、アナリティクス ツーリング、および自然言語処理などがあります。

IBMでは、IBM iと統合して使用できるWatsonアナリティクス アプリケーションを開発しており、5月の初めにフロリダ州オーランドで開催される COMMON Annual Meeting and Exposition で、それらの機能のデモンストレーションが行われる予定です。カンファレンスに先立って具体的な詳細情報は明らかにされていませんが、IBM iアドボケイト(唱導者)の集まるこのカンファレンスでIBMは、Watson統合を優先事項に掲げるように思われます。そのカンファレンスでは、様々な業界におけるエンド ユーザーおよびISVの成功事例や、開発者によるヒントおよびテクニックについての講演を聞くことができるでしょう。もしかしたらInnovation Awardの発表もあるかもしれません。

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